マハゼ〔真沙魚、真鯊、真櫨〕

●スズキ目ハゼ科
●全長 20cm
●分布 北海道以南〜九州
●釣り場 砂浜
防波堤

河口
河口付近の湖沼
●地方名
江戸時代から人気の大衆魚
世界中に1650種、内日本には291種が分布するといわれるハゼ科の代表種がマハゼだ。
最も親しまれているハゼといえる。
北海道以南から九州まで、日本各地に分布する温帯性の魚で、内湾や河口の砂泥底域に生息。
汽水域や河川の淡水域に遡上するものもいる。
水底を滑るように素早く移動し、泳ぎながらエサを食べる。
雑食性で、主食は底生小動物。イソメやゴカイなどの多毛類、エビなどの甲殻類だが、海藻類や小魚も捕食する。
頭部が大きく、流線型で、黒色の波状の帯があるが、下側3分の1は斑紋がない。腹ビレが吸盤状で大きい。
朝鮮半島、中国にも分布し、近年シドニー、カリフォルニアにも定着した。
冬の終わりから春にかけての産卵期に、水底に迷路のような穴を掘り、中に産卵室をつくる習性が知られる。
孵化した幼魚は河口域で生活し、20cmから1mという水深の浅い場所に多い。
この6〜10cmの幼魚をデキハゼといい、夏の岸釣りの格好のターゲットとなる。
9月になると10cm以上に成長し、ボート釣りが増えてくる。
9月中旬のハゼは彼岸ハゼと呼ばれ、この頃から旬になる。
その後は、深場へと移動しはじめ、10月中旬以降を落ちハゼ、11月中旬をケタハゼと呼び、全長15〜20cmに達するのが普通。
各地で、一般名または他のハゼとの混称でハゼ、石川・富山でカワギス、沖縄でイーブーと呼ぶ。
乗合船だけでなく、小型舟での和竿の釣りは、江戸前伝統の釣りとして有名であり、秋になると、東京湾で多くのファンが竿を出す光景に出会える。
ハゼは釣りやすい魚で、特に夏ハゼならテクニックもいらないため、初心者でもかなりの釣果が期待できる。
夏休みの子供たちの格好の釣魚で、エサはゴカイやアオイソメなどを使うのが一般的だ。
淡白な白身はくせがなく、定番の天ぷらを筆頭に、さまざまな料理に使用できるため、。家庭でも人気があるが、店頭に並ぶことは少ない。
ワキが濃い、薄いで一喜一憂する江戸っ子釣り師
江戸っ子釣り師は夏になると、東京湾のハゼの魚影を「ワキが濃い、薄い」という。
東京湾の代表的釣魚で、老若男女を問わず簡単に釣れるため人気があるが、食との関係は切っても切れない。
夏の東京湾に多数浮かぶ天ぷら船は、ハゼなしでは存在しえないのでは。東京湾のハゼが日本一美味いという人もいるほど美味。